
葬儀を行う際、日本各地で異なる習慣が存在します。栃木県にも独自の文化があるので、参列の際は注意しましょう。とくに、お香典の『新生活』文化が特徴的です。金額相場・香典袋の選び方・渡し方など、通常とは異なります。マナーを理解し、失礼のないお別れをしましょう。ここでは、栃木県で行う葬儀の特徴をまとめています。
栃木県の新生活のお香典とは?
新生活とは北関東特有のお香典文化です。ここでは、新生活の意味や、一般的なお香典との違いを解説します。栃木県の風習を学び、故人をていねいに偲びましょう。新生活とは
戦後の日本では、復興に向けて新生活運動が盛んになりました。新生活運動では、様々な金銭的負担を減らし、生活力を上げることが目的です。そこで、冠婚葬祭の簡素化が定着しました。お香典金額を抑えることや、香典返しを辞退することが当時の習慣です。その習慣が北関東で根付き、現在では新生活と呼ばれています。参列者の会葬御礼品や食事も省略されることがあり、遺族・参列者ともに気を使いすぎません。故人を偲ぶことに集中し、心残りない別れができます。
一般的なお香典との違い
お香典の意義として、故人への感謝や遺族への経済的支援が上げられます。そのため、近しい関係ほど、高額なお香典準備が必要です。参列者の年代にもよりますが、一般的なお香典は3~10万円が相場とされています。しかし、新生活の考え方では少額が基本です。また、お香典袋には『新生活』と記入し、専用の受付に渡しましょう。
新生活のお香典の金額相場と地域ごとの違い
経済的負担に配慮する新生活文化ですが、お香典には相場があります。一般的な相場とは異なるので注意しましょう。また、近隣地域でも異なるので理解が必要です。ここでは、お香典の金額相場や渡し方を解説しています。新生活のお香典相場
新生活のお香典は、1,000~5,000円が相場です。無難な金額として、2,000~3,000円包むと失礼が無いでしょう。また、地域によって金額を統一することもあります。新生活を取り入れる地域では、周囲の方に確認が必要です。地域ごとの違い・注意点
金額が統一されている地域として、埼玉県では入間市・越生町・伊那町があります。3,000円以内とされているので注意しましょう。また、群馬県高崎市・栃木県足利市では1,000円が一般的です。そして、相場5,000円以下の地域では、4や9がつく金額は避けましょう。縁が切れることや、不吉なイメージがあるのでマナー違反です。
さらに、一般的なお香典にも共通しますが、必ず旧札を包みましょう。新札を包む行為は、前以って紙幣を準備していたことを表します。不幸を待っていたかのような意味になるので、とても失礼です。新札しかない場合、必ず一度折り目を入れて包みましょう。
新生活のお香典の書き方・渡し方とマナー
新生活の文化では、お香典袋の選び方・書き方が通常と異なります。また、参列マナーも独自なため、前もって理解しましょう。ここでは、具体的なお香典のマナーを解説します。表書きの書き方
新生活のお香典には、香典返し辞退の意思表示が必要です。そこで、表書きの左上に『新生活』と記入しましょう。または『新生活運動の趣旨に添って、お返しを辞退致します。』など、記入するとさらにていねいです。この意思表示が無い場合、香典返しが届くこともあります。これらを記入し忘れないよう注意しましょう。お香典袋の選び方
新生活を取り入れている地域では、コンビニエンスストアなどで文言入りのお香典袋を販売しています。中には、文言をシール式にして売られていることもあり便利です。そして、仏式の葬儀の場合、表書きは『御霊前』を選びましょう。幅広い宗派で使えるお香典袋です。しかし、仏式でも浄土真宗・曹洞宗では『御仏前』を使用します。宗派まで確認をして、お香典袋を選びましょう。宗教・宗派が不明なときは、御香料・御香資の表書きが無難です。全ての宗教・宗派に対応しているので失礼なく渡せます。
参列時のマナー
葬儀では、新生活専用の受付が存在します。一般や会社関連の受付に並ばないよう注意しましょう。受付では名前や住所の記帳を行い、一礼とお悔やみの言葉を伝えます。手短に『この度はご愁傷さまです。』などが適切です。その後、お香典袋をふくさから出します。出すときは、右手にふくさを乗せ、左手で開きましょう。ふくさは一度、受付台に置きます。そして、お香典袋の表書きを先方に向け、両手で渡すことがマナーです。
栃木県の風習
栃木県では、百万遍念仏と呼ばれる文化があります。念仏を100万回唱え、故人を供養する儀式です。通夜などで親族たちが輪になり、長い数珠を持ち念仏を唱えます。また、出棺時に行う、花籠振りも特徴です。色紙で作ったお金を籠に入れて振るため、花吹雪の様に舞います。故人の旅立ちを華やかに見送る儀式です。想いが込められた伝統によって、参列者も心穏やかになるでしょう。